
煙々羅
えんえんら
別名: えんえんら
煙の中から現れる妖怪。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に描かれ、闇夜に漂う煙が人の姿や怪物の形をとるとされる怪異。
- 時代
- 江戸
- 地域
- 全国
- 分類
- 火の怪
画図百鬼夜行
概要
煙々羅(えんえんら)は、鳥山石燕の『画図百鬼夜行』(1776年)に収録された妖怪で、煙の中から現れるとされる怪異です。煙が集まって人の顔や体の形をとり、見る者を驚かせると描かれています。石燕以前には独立した妖怪としての記録が少なく、石燕の創作的要素が強いと考えられていますが、煙に怪異を見るという感覚は古来より日本各地に存在しました。
姿と特徴
石燕の絵では、煙の中に複数の顔や手のような形が浮かび上がる様子が描かれています。煙々羅は実体を持たず、煙そのものが怪異の形をとるという点が特徴的です。炉や焚き火の煙・線香の煙・霧のような煙など、様々な煙の中に現れるとされ、その形は一定ではなく変幻自在に変わります。
伝承と解釈
煙々羅という名前は「えんえんら」と読み、煙の漂う様子を表す擬音的な名称と解釈されます。江戸時代には炉辺や囲炉裏の煙の中に顔が見えるという怪談が各地にあり、煙々羅はこうした民俗的体験を妖怪として形象化したものと考えられます。煙は可視と不可視の中間にある曖昧な存在であり、怪異の宿る場所として民俗的想像力を刺激しました。
煙と怪異の関係
日本の民俗では、煙は霊と関係する媒体として捉えられることがあります。線香の煙が霊への供養として用いられるように、煙は生者と死者・人間と霊の間を結ぶ存在として機能してきました。煙々羅はこうした煙の霊的性格が妖怪として結晶化した存在と言えます。
文化的影響
近代以降、煙々羅は石燕の絵画からインスピレーションを受けた現代の妖怪図鑑・ゲーム・アニメに登場し、煙・霧・気体系の妖怪というカテゴリの先駆けとして再評価されています。
出典
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 (1776)


