
天井嘗め
てんじょうなめ
別名: 天井なめ
古い家屋の天井を長い舌で舐め回る妖怪。人を傷つけることはなく、不気味な存在感が特徴です。
- 時代
- 江戸
- 地域
- 全国
- 分類
- 屋敷妖
画図百鬼夜行座敷の主江戸怪談
概要
天井嘗め(てんじょうなめ)は、古い家屋の天井を長い舌でひたすら舐め続けるとされる妖怪です。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に描かれたことで広く知られるようになりました。
姿と行動
異様に長い舌を持った人間のような姿で描かれることが多く、天井に向かって舌を伸ばして舐め続けます。人を傷つけたり何かを要求したりするわけではなく、ただ天井を舐めるという一点のみの行動が特徴です。危害がないだけに、その不可解さと不気味さがかえって印象に残る妖怪です。
文化的背景
江戸時代、古い家の天井は煤で黒ずんだり、汚れや染みが残ることが多くありました。天井の染みや汚れを「妖怪が舐めた跡」として解釈する発想が、天井嘗めの伝承を生んだとも考えられます。また、古い屋敷には様々な精霊や妖怪が棲みつくという信仰があり、天井嘗めはその一形態として位置づけられます。
屋敷妖怪の系譜
天井嘗めは座敷童子や雪女とは異なり、吉凶どちらにも作用しない中立的な妖怪です。この「害もなければ益もない」という存在様式は、江戸期の妖怪観の多様性を示しています。鳥山石燕はこの妖怪を「天井に潜む奇妙なもの」として簡素な解説とともに描き残し、その図像が後世に受け継がれました。
出典
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 (1776)


