御霊
ごりょう
別名: 怨霊、御霊神
非業の死を遂げた人物の怨霊。菅原道真・平将門などが有名。祟りを鎮めるために神として祀られた平安の霊信仰。
- 時代
- 平安
- 地域
- 近畿
- 分類
- 幽冥
概要
御霊(ごりょう)とは、非業の死を遂げたり、無実の罪で処刑されたり、政争で失脚した人物の怨霊のことです。その怒りと悲しみが強力な霊的エネルギーとなり、疫病・天災・社会不安などの形で人々に祟りをなすと信じられました。怨霊の怒りを鎮め、善神として祀り直すことで災厄を防ごうとする「御霊信仰」は平安時代に大きく発展しました。
代表的な御霊
日本史上最も有名な御霊の一つが菅原道真(845-903年)です。政争に敗れて九州の大宰府に左遷された道真は、そこで没しましたが、その後京都では雷が落ちたり宮廷関係者が相次いで死亡するなどの怪異が続きました。これを道真の祟りと恐れた朝廷は、彼を天神(雷神・学問の神)として祀り、北野天満宮を創建しました。
平将門(?-940年)も著名な御霊です。朝廷に反乱を起こして討たれた将門の霊は長く関東で祟ると恐れられ、神田明神など複数の神社で祀られています。
御霊信仰の構造
御霊信仰の特徴は、怨霊を単に祓い除けるのではなく、神として祀ることで怒りを鎮め、守護神に転化させるという発想にあります。これは「荒ぶる神を祀れば守り神になる」という日本古来の神観念と結びついています。
863年には平安京で「御霊会(ごりょうえ)」が行われ、怨霊を慰める最初の公式儀式が記録されています。その後、怨霊を鎮めるための祭りは各地に広まり、祇園祭なども元をたどれば疫神・怨霊を鎮めるための御霊会に起源を持ちます。
現代への影響
御霊信仰は現代の日本でも生きており、全国各地の天満宮・稲荷神社などには御霊を祀った起源を持つものが多くあります。また「祟り」という概念そのものも、現代の怪談・ホラー文化に深く浸透しており、非業の死を遂げた者が怨霊となって祟るという物語パターンは現代のホラー作品にも広く見られます。
出典
- 『和漢三才図会』 寺島良安 (1713)

