
抜け首
ぬけくび
別名: 飛頭蛮、ぬけ首
夜中に首が胴体から分離して飛び回る妖怪。ろくろ首の変種とも言われ、首が完全に分離する点が異なる。
- 時代
- 平安
- 地域
- 全国
- 分類
- 幽冥
画図百鬼夜行
概要
抜け首(ぬけくび)は、夜になると首が胴体から完全に分離して飛び回る妖怪です。昼間は普通の人間と変わりなく生活していますが、夜になると首が抜け出して空中を漂います。ろくろ首(首が伸びる)とは異なり、首が完全に胴から離れるという点が特徴です。中国の「飛頭蛮(ひとうばん)」の伝承とも関係があるとされます。
姿と特徴
抜け首の本体は昼間は普通の人間に見えます。しかし夜中、深く眠った時に首が胴体から抜け出し、空中を飛び回ります。飛んでいる首は自分の意志で動き、獲物(人や動物の血)を求めて徘徊するとされます。首と胴体が離れている間、胴体は仮死状態になるとも言われます。首が戻れなくなると、本体は死んでしまうとされます。
伝承の起源
抜け首の伝承は平安時代にはすでに存在していたとされます。『今昔物語集』には首が飛ぶ女の話が収録されています。中国の「飛頭蛮」との関連も指摘されており、東アジア全体に広がる「首が飛ぶ怪物」というモチーフが日本独自の解釈で発展したと考えられています。
ろくろ首との違い
抜け首はしばしばろくろ首と混同されますが、両者は異なります。ろくろ首は首が長く伸びるもので、首と胴体はつながったままです。一方、抜け首は首が完全に分離して飛ぶという点で本質的に異なります。ただし江戸時代の絵師や作家が両者を混同して描いた例もあり、現代では区別が曖昧になっている面もあります。
発見と対処
抜け首が寝ている家族の一員だと発見した場合、首が戻れないよう胴体を別の場所に移すと、首は朝まで戻れず苦しむとされます。また、首の分離を防ぐためには、首の周りに赤い糸を結ぶ、塩を撒くなどの呪術的な対処法があるとも伝わります。
出典
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 (1776)
- 『今昔物語集』 各作者 (1120)


