
輪入道
わにゅうどう
別名: 車僧、輪法師
炎に包まれた車輪の中心に恐ろしい人面を持つ妖怪。魂を奪い地獄へ連れ去るとされる恐怖の存在です。
- 時代
- 平安
- 地域
- 全国
- 分類
- 幽冥
画図百鬼夜行江戸怪談
概要
輪入道(わにゅうどう)は、炎を纏った巨大な車輪の中心に人間の顔(または上半身)が収まった異形の妖怪です。轟音を立てながら夜道を転がり、出会った者の魂を奪って地獄へ運ぶとされます。
起源と伝説
もともとは牛車の車輪に呪いをかけられた悪人の霊、あるいは地獄の使者として語られてきました。『今昔物語集』には輪入道に近い怪異の記述があり、平安時代にはすでに類似の伝承が存在していたとされます。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』で視覚的に定着し、炎の輪の中に恐ろしい顔を持つ姿が広く知られるようになりました。
恐れられた理由
輪入道を見てしまっただけで魂を奪われるという説と、特定の言葉をかけると難を逃れられるという説があります。ある伝承では「あら珍し」と声をかけると輪入道がひるみ、その間に逃げられるとされています。女性の下着(腰巻き)を顔に見せると怯むという記述も残り、呪術的な防御法が語り伝えられてきました。
地獄の象徴として
車輪は仏教における「業の車輪(輪廻)」を連想させます。炎の車輪に閉じ込められた顔という図像は、地獄の苦しみと輪廻の不断の回転を視覚化したものとも解釈されます。江戸時代の人々にとって、輪入道は因果応報と地獄を身近に感じさせる存在でした。
出典
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 (1776)
- 『今昔物語集』 不詳 (1120)


