
一つ目小僧
ひとつめこぞう
別名: 一目小僧、ひとつめこぞ
顔の中央に一つの大きな目を持つ小僧の姿をした妖怪。節分の豆まきを嫌い、特定の日に現れるとされる。
- 時代
- 江戸
- 地域
- 全国
- 分類
- 道妖
概要
一つ目小僧(ひとつめこぞう)は、顔の中央にひとつの大きな目を持つ子供の僧侶の姿をした妖怪です。日本全国に伝承が残り、特に2月8日と12月8日を「事八日(ことようか)」と呼ぶ風習と深く結びついています。鳥山石燕の『画図百鬼夜行』にも描かれた代表的な妖怪のひとつです。
姿と特徴
外見は小さな子供の僧侶(小僧)に似ていますが、顔の中央、あるいは額に一つだけ大きな目を持ちます。体格は幼く、墨染めの衣や法衣を着た姿で描かれることが多いです。声は子供のようであり、突然人前に現れては驚かせるとされます。目の力が強く、この目で人を見つめられると病気になるとも言われています。
伝承と行動
一つ目小僧は、2月8日(事始め)と12月8日(事納め)の「事八日」に各地を歩き回るとされます。この日、竹笊(たけざる)や籠を家の軒先に吊るすと一つ目小僧が避けていくと信じられていました。これは一つ目の妖怪が「目の多いもの」を恐れるという民俗信仰に基づいています。また、節分の豆まきを極端に嫌うとも伝えられています。
民俗学的解釈
柳田國男は著作の中で、一つ目小僧を山の神や田の神の化身として捉える解釈を示しました。山間部では一本足と一つ目を組み合わせた妖怪の伝承が多く、これらは人間の訪問を嫌う山神が、異形の姿で現れたものだとされます。目が一つであることは「異界の存在」の印であり、人間の目(左右対称で二つ)とは根本的に異なる存在であることを示しています。
地域ごとの伝承
関東地方では特に豊富な伝承が残り、江戸の町では一つ目小僧の絵馬や判じ物が作られるほど広く親しまれていました。東北地方では、田の神が春に降りて来る際の姿が一つ目小僧だという伝承もあります。このように、一つ目小僧は単なる怪異ではなく、農耕や季節の変わり目と結びついた神秘的な存在として捉えられてきました。
出典
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 (1776)
- 『妖怪談義』 柳田國男 (1956)


