油すまし

油すまし

あぶらすまし

別名: 油澄まし

熊本県の草枕峠に現れる蓑笠姿の翁。「先祖もここに出たと言っていた」という一言が印象的な道の妖怪です。

時代
江戸
地域
九州
分類
道妖
九州の妖怪

概要

油すまし(あぶらすまし)は、熊本県の草枕峠(くさまくらとうげ)に出没するとされる妖怪です。蓑(みの)と笠を身につけた老翁の姿で現れ、人を驚かせるとされます。油屋が行き交った峠道で油を盗んだ者の霊とも、峠に棲みついた精霊ともいわれます。

名前の由来

「油すまし」という名前には二つの解釈があります。一つは油売りや油屋と関係があるとするもの、もう一つは「油を澄ます(精製する)」という作業と結びつけるものです。峠道を往来していた油を運ぶ商人たちの記憶が妖怪伝承として残ったとも考えられています。

印象的な言葉

油すましが有名な理由の一つが、現れたときに告げるとされる言葉です。「昔、人がここにわしが出ると言っていたが、わしはちゃんとここに出るぞ」という内容の言葉を残し去るとされており、この自己言及的なセリフが妙なユーモアと不気味さを醸し出しています。世代を超えて峠に現れることを自ら宣言するその姿は、伝承の連続性そのものを体現する妖怪ともいえます。

水木しげるによる定着

水木しげるが油すましを取り上げたことで全国的に知られるようになりました。のっぺりとした顔に蓑と笠という素朴な姿は、九州の山道に土着した妖怪らしい風情があります。鳥取県境港市の水木しげるロードにも像が設置されています。

出典

  • 肥後国志 不詳 (1742)
  • 妖怪大全 水木しげる (2004)

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