雷獣

雷獣

らいじゅう

別名: 雷の獣、らいじゅう

雷雨とともに天から降ってくるとされる獣。タヌキ・イタチ・サルなど諸説あり、爪で樹木を傷つけ、雷の力を持つ。

時代
不詳
地域
全国
分類
天候妖、獣妖

概要

雷獣(らいじゅう)は、雷雨や嵐のときに雷とともに天空から地上へと降ってくるとされる不思議な獣です。その姿については諸説あり、タヌキ・イタチ・サル・ネコ・イヌ・リス・ムジナなど様々な動物として描かれます。体には電気を帯びており、落雷の際に樹木や地面に爪痕を残すとも言われます。日本各地で雷雨の後に不思議な動物が発見されたという話が伝えられており、それが雷獣の目撃談として記録されました。

姿と特徴

雷獣の外見は文献・地域によって大きく異なります。『和漢三才図会』(1713年)ではタヌキに似た体に鋭い爪を持つ動物として描写されています。江戸時代の瓦版(かわらばん)や随筆には、嵐の後に捕獲されたという雷獣の挿絵が多数残されており、それぞれ異なる姿で描かれています。共通するのは「鋭い爪」「電気または光を放つ体」「雷との関連」という三点です。

特に雷が落ちた後の木には爪で引っ掻いたような傷が残ることがあり、これが雷獣の仕業とされました。現代では落雷による木の裂け方が爪痕に見えたのだと解釈されますが、江戸時代の人々には雷獣の存在の証拠として映りました。

雷神との関係

雷獣は雷神(らいじん)の使いまたは分身とされることもあります。日本の民間信仰では雷神は太鼓を叩く鬼神として描かれることが多く、雷獣はその従者として空を飛び回るとも考えられていました。雷に打たれた木や地面に何かの跡が残ることから、「雷とともに降りてきた神の使いが去り際に残した痕跡」という解釈が生まれたと考えられます。

また、雷雨に打たれた後の家畜や野生動物が動転して暴れることも、雷獣の仕業として説明されることがありました。

各地の雷獣伝承

越後(新潟県)や信州(長野県)など山岳地帯に雷獣の伝承が多く残っています。また江戸時代の随筆集『甲子夜話』には、雷獣が捕まって見世物にされたとか、博物学者の元に送られたとかいう話が記録されており、当時の人々が雷獣を実在の動物として捉えていたことが分かります。

科学的解釈

現代の立場からすると、雷雨後に発見された奇妙な動物(ムササビ・テン・アナグマなど)が雷獣と同一視された可能性が高いと考えられています。また落雷の物理的な現象(樹木の裂け方、地面のガラス化現象「フルグライト」など)が雷獣の存在を「証明する証拠」として解釈されたとも言えます。雷獣は自然現象に対する人々の説明欲求が生み出した存在と言えるでしょう。

出典

  • 和漢三才図会 寺島良安 (1713)

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