
白沢
はくたく
別名: 白澤
中国の伝説的な瑞獣。黄帝の前に現れ、天下のあらゆる怪異の名前と性質を語った知識の神獣。九つの目を持つとも伝わる。
- 時代
- 古代
- 地域
- 全国
- 分類
- 霊獣
霊獣・瑞獣
概要
白沢(はくたく)は、中国の伝説に登場する瑞獣(めでたい神聖な動物)で、日本にも古くから伝わっています。黄帝(中国の伝説上の始祖的君主)が東方を巡幸した際に現れ、天下に存在するあらゆる精霊・怪異・妖怪の名前・性質・対処法を黄帝に語ったとされています。その知識は書物に記録され、妖怪図鑑の原典ともいうべき「白沢図」が作られたと伝えられます。
姿と特徴
白沢は白い牛または獅子に似た体を持ち、人間の言葉を話します。体には複数の目を持ち、「九つの目」(頭部に四つ・脇腹に各二つ・合計九つとも)という記述が中国の文献に残っています。顔は人間に似ており、長い鬣(たてがみ)を持つとされます。白い体色は純潔・神聖さを象徴し、徳のある支配者のもとにのみ現れる瑞兆とされました。
知識の神獣としての役割
白沢の最大の特徴は、その卓越した知識にあります。「白沢図」は一万一千五百二十種の妖怪・精霊の情報を収録したとされる伝説の書物で、後世の日本にも伝わり、鬼・妖怪に関する百科事典的な知識の源泉とされました。白沢の姿を描いた護符は、妖怪・魔物を退ける力を持つとされ、枕の下に置いたり、旅のお守りとして携帯したりする習慣がありました。
日本への伝来と影響
白沢は中国から日本に伝わり、陰陽道・修験道の文脈で重要な存在となりました。平安時代以降、白沢の図像は神社仏閣の装飾・護符・呪術書などに広く用いられました。白沢が語ったとされる妖怪の知識は、日本の妖怪文化の形成にも間接的に影響を与えており、鳥山石燕をはじめとする江戸の絵師たちも白沢を描き残しています。
出典
- 『和漢三才図会』 寺島良安 (1713)


