
貉
むじな
別名: むじな、ムジナ
アナグマやタヌキを指す古語で、人間に化ける変化の妖怪として知られる。顔のない「のっぺらぼう」の話にも深く関わる。
- 時代
- 不詳
- 地域
- 全国
- 分類
- 獣妖
概要
貉(むじな)は、アナグマや狸の古称であり、人に化けて悪さをする変化(へんげ)の妖怪として日本各地に伝わります。タヌキと混同されることも多く、地方によってはタヌキのことをムジナと呼ぶ場合もあります。特に有名なのが「のっぺらぼう」との関連で、顔のない妖怪として現れ人を驚かす話が各地に残っています。
姿と特徴
ムジナそのものの姿は動物(アナグマ・タヌキ)ですが、妖怪としての側面では人間に化ける能力が重要視されます。化けた姿は男女老若を問わず、完璧な人間の形をとるとされます。特に顔を化かす能力に優れ、のっぺらぼう(顔に目鼻口がない存在)として現れる話が知られています。この「のっぺらぼう怪談」はラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が英語で紹介したことで世界的に広まりました。
伝承と起源
のっぺらぼう伝承の典型的な形は次のようなものです。夜道を歩いていると女性に出会い、声をかけると振り向いたその顔には目も鼻も口もない。驚いて逃げ出すと、提灯売りなどに追いつき話しかけると、その人物もまた顔のない存在だったというものです。この話は日本各地に分布し、ムジナの仕業とされる場合と、タヌキや狐の仕業とされる場合があります。
民俗的背景
ムジナは日本の動物妖怪の中でも特に「人を化かす」属性が強調される存在です。アナグマは夜行性で穴を掘る動物であることから、地中・夜・変容といったシンボリズムと結びつきました。また、同一の動物に複数の呼称が存在することで、地方ごとに異なる妖怪像が生まれ、タヌキ・キツネ・ムジナの区別が曖昧になった地域も多く存在します。
文化的影響
ムジナの化け話は落語・怪談・随筆に数多く記録されており、江戸庶民文化における動物妖怪の代表例です。近代以降はタヌキの化け話と統合される形で語られることが多くなり、現代では「化け狸」の一種として認識されています。
出典
- 『甲子夜話』 松浦静山 (1821)
- 『今昔物語集』 不詳 (1120)


