
猩々
しょうじょう
別名: 猩猩、しょうじょ
海に棲む赤い髪の人間のような存在。酒を好み、能楽「猩々」の主役として知られる祝福をもたらす霊獣。
- 時代
- 不詳
- 地域
- 全国
- 分類
- 海妖、獣妖
概要
猩々(しょうじょう)は、海や大きな川に棲む人間に似た姿の伝説的生物です。全身が赤く、特に赤い長い髪が特徴的で、酒を非常に好みます。中国の古典に起源を持ち、日本には遣唐使の時代から伝わったとされます。能楽の演目「猩々」では、酒を愛する善良な存在として描かれており、日本の妖怪の中では珍しく吉祥をもたらす存在として知られます。
姿と特徴
猩々の姿は人間に似ていますが、全身が赤く、特に顔と髪が鮮やかな赤色をしています。髪は長く腰まで届き、海の中を自由に泳ぎ回るとされます。顔つきは人間に近く、知性があることが窺えます。お酒を飲む姿は人間そのものであり、酒杯を持って楽しそうに飲む描写が多くの絵画や能楽の衣装に見られます。
酒と猩々
猩々の最大の特徴は酒を好むことです。能楽「猩々」では、毎日酒を買いに来る高風(たかかぜ)という孝行者の前に猩々が現れ、尽きることのない酒を与えます。この話から「猩々」はおめでたい酒席の象徴として扱われ、結婚式や祝宴の飾り物や絵柄に使われるようになりました。「猩々緋(しょうじょうひ)」という鮮やかな赤色の染め物の色名も、猩々の赤い体に由来します。
中国からの伝来
猩々の原形は中国の古典——『山海経』や『本草綱目』など——に記される「猩猩(しょうじょう)」という獣です。中国では猩猩はオランウータンに似た動物として記述されており、知性が高く人語を解すとされていました。日本に伝わる中で、この動物が霊的な存在として再解釈され、酒を愛する海の精霊として定着したと考えられます。
文化的影響
猩々は日本の伝統芸能において重要な位置を占めています。能楽「猩々」は今日でも上演される人気演目であり、猩々の姿を模した面や衣装は能楽の象徴的なものです。また染色の分野でも猩々緋という色名として生き続け、日本の伝統色のひとつとなっています。妖怪でありながら吉祥をもたらす存在という独特のポジションは、日本の妖怪文化の多様性を示しています。
出典
- 『和漢三才図会』 寺島良安 (1713)
- 『画図百鬼夜行』 鳥山石燕 (1776)

