山童

山童

やまわろ

別名: やまわろ、山わろ

九州地方の山に棲む子供の姿をした妖怪。相撲を好み、山仕事の人を助けることも害することもある。河童の山版とも言われる。

時代
不詳
地域
九州
分類
山妖、獣妖
山の霊九州の妖怪

概要

山童(やまわろ)は、九州地方(特に熊本・大分・宮崎・鹿児島)の山中に棲むとされる妖怪です。子供の姿をしており、相撲を好む点や人間に悪戯をする点で河童(かっぱ)と共通点が多く、「河童が山に上がったもの」または「山の河童」とも呼ばれています。夏季は山に棲む山童が、冬になると川に下りて河童になるという伝承もあり、両者は同一の存在の季節的な変容とみなされる場合もあります。

姿と特徴

山童は10歳前後の子供の姿をしており、全身が赤みがかった体色で、頭頂部は皿状にくぼんでいます(河童と同様)。体には毛が生えているとも言われ、人間の子供よりも野性的な外見をしています。力は見た目によらず強く、大人の男性と相撲を取っても勝てるほどです。木々の間をすばしこく動き回り、姿を見ることは難しいとされます。

相撲と山仕事

山童の最大の特徴は相撲好きであることです。山仕事をしている木こりや炭焼きの前に現れて相撲を挑んでくるという伝承が多く残っています。負けると怒ってその人を悩ませますが、勝っても怒りが収まらないことがあるため、対処に困る存在とされています。適度に手を抜いて引き分けにしてやると機嫌がよくなり、山仕事を手伝ってくれることもあるという話も伝わります。

一方、山童は山仕事の人間に対して労働力を提供することもあります。弁当を1個置いておくと1人前の仕事をしてくれるなど、山童と人間が互恵的な関係を築いた話も残っています。これは山の精霊を丁重に扱うことで山仕事の安全と豊かさを得られるという山岳信仰と関連しています。

河童との関係

山童と河童の関係については、民俗学者の間でも議論があります。柳田國男は『妖怪談義』の中で、九州においては山童と河童が「同一の存在の夏冬の姿」として認識されている地域があることを指摘しています。夏に山にいて秋になると川に下るという季節移動の観念は、山と水辺を結ぶ精霊信仰の反映と解釈できます。

九州の地域性

山童は九州固有の妖怪として特に研究されており、熊本県の球磨地方や大分県の山間部に特に豊富な伝承が残っています。九州の山岳地帯は古代から独特の文化圏を形成しており、山の精霊に関する信仰が独自の形で発達してきました。山童はその産物であり、九州民俗文化を代表する妖怪のひとつとされています。

出典

  • 妖怪談義 柳田國男 (1956)

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